2006/07/26

広告 2006/9 vol.368

発見ハ何デスカ? クリエイターの遭遇。伊坂幸太郎×小西利行




小西 『伊坂さんの本って、広告を作っている感覚に近い気がするんですよ。受けての感覚がわかってて、その上で伝えている感じがする。』



伊坂 『僕は 「わかる人だけついて来ればいいんだぜ、ベイビー」 までは割り切れなくて(笑)、相手側にわかってもらいたくなるんです。ある書評家が 「伊坂幸太郎が持っているのは親和性なんだ、向こう側に親しく入り込んでいく力なんだ」 と書いてくれたのはよく覚えています。』


2006/07/10

本demand

キッカケの素 「作家 伊坂幸太郎」 特集。





ご自分で脚本を書こうと思ったことは?



最近、自分の小説の映画化の話があった時に、「脚本をやりますか」と言われて、その時に、頭にいろいろなアイディアが浮かんで、これを脚本にしたら面白いんじゃないか、と一瞬だけ興奮したんですが(笑)、それをやったら小説を書かなくなっちゃいそうで。それに、脚本って主に会話しかないから、それになじんでしまうと、小説の地の文とか書けなくなるような恐怖もあるんですね。ですから、やらないと思います。


いざ読もうとしても、「何から読めばいいのかわからない」という人も多いかと思います。本の選び方についてのアドバイスをいただけますか?



自分の好きなものだけ読んでいると、偏ってしまうのは確かですね。かといって、「あ」から順に読んでいけというのも違う気がしますし。信頼できる書評家を見つけて、読んでいくのはいいような気がしますけど。そういえば、奥泉光さんや島田雅彦さん、柄谷行人さんらの推薦書を載せた『必読書150』は、いい作品が並んでいるし、評価の理由もしっかり書かれているので、僕はとても面白かったです。僕の場合、ドストエフスキーに出会ったのが遅かったんです。若いころは「そんな有名作品は読みたくない」みたいな反発心があって。でも、読むとやっぱり、王道には王道の強さがあるというか、強固なものがあるというか...。
僕にとってはビートルズもそうで、「あんなのロックじゃない。教科書に載ってるじゃないか。イエスタデイってロックなのかよ」と思って(笑)、全然聞いてなかったんですけど、奥さんに薦められて、真面目に聞いて、「まいりました」って。古典には古典の、名作には名作の力があるんだと思います。怪しいのもありますが(笑)。