2004/08/17

Cut 2004/9 No.169

いま最も注目すべき作家の新作は、奇妙な殺し屋たちの物語。




映画や音楽などサブカルからの引用が物語で重要な役割を果たす点が、村上春樹さんと共通する部分もありますけど。


「よく比較されるんですが、ぼくはほんとに村上春樹さんを読んでないんです。でも『やれやれ』っていうフレーズが取り上げられるように、村上春樹さんって社会との距離をある種、超越したところから見つめているんじゃないかなって思うんですよ。ただ、ぼくはそういうスタンスが取れないんです。それに比べるとぼくは結構、真面目なことを書いてるんじゃないかって気がしてて。いわゆる根性みたいなものを、ぼくらはバカにして生きてきたんですよね。頑張ってやるよりは、ちょっと脇にいたほうがいい、と。たぶんそういうスタンスが、『やれやれ』という言葉に非常に近い気がするんですが、ただ、そうやって育ってきたぼくらは、いま意外と物事に一生懸命関わっていこうとしてるんじゃないかと思っているんです。さっきの『それでも生きていく』と一緒で。ただ、まともなことをいおうとすると恥ずかしいので、出力するときに歪みがかかる。それがユーモアだったり肩透かしだったりするんですけど。だからいっていることは普通のことで、そこに照れが入ってズレて、それが個性と取られているのではないかと最近自己分析してますけどね」