2009/10/04

CIRCUS 2009/11

スペシャル インタビュー 伊坂幸太郎




CIRCUS 2009/11


「僕は単純な人なので、ドンデン返しとか派手なトリックが大好きだったんです。よくミステリーに対して「人間が描かれていない」という批判もありますけど、「それの何が悪いんだ?」って思っていました(笑)。根本にあるのは「驚きたい」ということなんですよね。やはり島田荘司信者なので、ミステリーの醍醐味は、謎があって、それが解明される瞬間の落差を楽しむものだと思っています。現実に起こる殺人事件でも犯人が分からないままだったり、犯人が捕まっても動機が分からなかったり・・・。事件じゃなくても、日常に起こる謎が謎のまま終わる、ということはたくさんありますよね。でも、ミステリーの世界では、謎に対して明確な答えを示してもらえるのですごくスッキリする。生きていくこと自体、モヤモヤするものだとは思うし、モヤモヤを抱えて生きていくことも大事なんですけど、ミステリーはそのモヤモヤを解消する仕組みになっているところが特権です。現実にはスッキリすることがあまりないからこそ、せめてミステリーの世界ではスッキリしたいんです。なのに、現実の生活には生かせないじゃないですか(笑)。その徹底したエンターテインメント性はほかにはない良さだと思います。」