2008/10/15

QuickJapan vol.80

『モダンタイムス』刊行記念対談 伊坂幸太郎×花沢健吾




QuickJapan vol.80


花沢 「挿絵は毎週小説が届くたびに読んで描く、という状態だったので、毎回スリリングでした。最初の頃は定規を使わないで背景を描いてみたり、試行錯誤しながら描いていたので、全体の統一感を考えると若干申し訳ないことになってるんですが・・・


伊坂 「トライしてくださったってことですよね。僕も毎回毎回阿、花沢さんがどんな絵を描いてくれるのかワクワクしていましたし、それに絵で小説が補強される部分もすごくあるんですよ。


花沢 「描いていると楽しくなっちゃって、小道具とか、未来感とか、イメージが膨らんでいっちゃうんです。そこを自由に描かせてもらえたので、助かりました。


伊坂 「そうそう、未来感!コップに広告が出てくる、というのは花沢さんのアイデアで、その絵を見て小説を書き直したんですよ。他にもいっぱい、絵からのフィードバックはありました。そういえば、主人公の渡辺君は顔を見せない、というルールは最後まで通されましたね。


花沢 「そこは一番悩みました。僕自身、主人公の顔のイメージがどうしても湧かないというか、ただ単に格好良いだけだとちょっと違うなぁと思ったし、見せないで読者に任せた方がいいのかなって。