2008/10/23

小説現代 2008/11

「モダンタイムス」刊行記念 ロング・インタビュー




小説現代 2008/11



僕は最初の頃の作品は、割とテクニカルに見える、「きっちりパズルのように閉じる」小説を書いてきたので、そういう部分が好きで読んでくれている人も多いだろうとは想像しているんです。ただ、自分自身は割りと大雑把で、綺麗に畳まれることにそれほど関心がないんですよね。パズルみたいなのって嫌いなんですよ(笑)。なので、最近はもう、「物語を畳まなくて、満足感を与えることのできるものを書きたい」と思って、その思いで、『ゴールデンスランバー』と『モダンタイムス』は書いたんですよね。それと、初期の小説では、現実社会で悪がはっきりしないからこそ、「フィクションの中でくらいは、悪をはっきりさせて勧善懲悪でいいじゃないか」と考えていました。でも、やはり『ゴールデンスランバー』の前に十三作の小説を書いているうちに次第に変化してきたんですよね。現実そのものを書きたいわけではないんだけど、実際の悪は複雑でわかんないよね、みたいなことをフィクションの中に書いて、しかも納得してもらいたいという気持ちがあるのかもしれません。