2008/09/16

IN・POCKET 2008/9

特集:伊坂 幸太郎 ロングインタビュー






IN・POCKET2008/9


  • 文庫本 ¥ 200




『モダンタイムス』がコミック誌での連載ということに対して意識したということ


漫画は好きだけど小説は読まないという読者にも、僕の小説を読んでもらいたいという気持ちが強かったからなんだと思います。


展開も急に怖い人が出てきたり、いきなり小指切られちゃったりとか、兎人間が出てきたりして。


最近になって「自分はサービス精神があるんだな」ということに気づいてきたんです(笑)。伏線を回収するというのも、自分が好きというよりも、読者に喜んでもらいたいからなんですよね。僕が好みの小説は、伏線を回収していないものもたくさんあるんです。急に怖いことが起こらなくてもいいんですけど、どうせ読むならこういうことがあったほうが、楽しんで読んでもらえるんじゃないかな、と。漫画にも、そういうところがあると思うんです。『モダンタイムス』も同じで、「ツカミとヒキ」といいましたが、一話読んだだけでも、途中から読んでも、面白いようにしたかったんですよね。結果的に、「モーニング」の中でも僕の小説は、他の漫画より漫画っぽい気がしたくらいです(笑)。今回は、読んでもらいたいという気持ちで始めていますから、さらにサービス精神が出たんだと思いますね。