2008/04/08

SPA! 2008/4/15

エッジな人々 伊坂幸太郎×山下敦弘




伊坂 「今回の山下さんの映画って「空気感」ですよね。事件は何も起きない。僕は脚本を読んだあとで小説を書いたんですが、最初、その空気感に引きずられちゃったんですよ。僕の本って伏線らしきものがあって、ちょっとした驚きがラストにあるというのを求めてる人が多いみたいなんですけど、最初に書いたやつはそういうのがまったくないんです。空気感を楽しめばいいいや、と思って。でも、完成した山下さんの映画を観て、映画だから空気感だけでもいいんだな、と思い直して。小説は理屈だよなぁと前から思っていたし、だったら未来社会の背景なんかは、僕のほうで説明すればいいやと。」


山下 「それにはすごく助けられたし、そういう関係で作ろうというのがありましたよね。」


伊坂 「映画だけ観て意味がわからないと言われても、説明は僕の小説でやっているわけだから。」


山下 「いや、本当にそういう感じ。実は、映画でドラマっぽいものを撮るのをやめたのも、単体だけで意味が出るものにはしたくないなぁという気持ちがあったからなんです。今回も、小説と映画とピーズの音楽がちゃんと交ざってひとつの作品になる、そんな感じにしたかった。」